シャドーイングができない・ついていけない|私が変えたのは速度と発音の順番でした

イヤホンで英語の音声を聴きながらシャドーイングをしている社会人のイラスト IELTS勉強法

音声を流して、少し遅れて同じことを言う。やり方はそれだけのはずなのに、三文目あたりで口が止まる。私もそうでした。

「聞いている分には分かるのに、自分の口が一言も追いつかない」

シャドーイングができないと感じるとき、だいたいこのパターンです

・音声が速すぎて、最初の数語でついていけなくなる

・口が回らず、言えているつもりの音がぐしゃっと潰れる

・自分の声が邪魔をして、肝心の音声が聞こえなくなる

調べると、原因はたいてい「英語力が足りていない」「教材のレベルが合っていない」と説明されています。私の場合は、そのどちらでもありませんでした。

💡 先に結論

意味は分かっているのに追いつけないなら、足りていないのは理解力ではありません。私の場合、足りていなかったのはその音を自分の口で出す準備のほうでした。直したのは教材ではなく、速度と、発音の基礎の2つです。

私はIELTSの対策をしていたころ、TEDの動画でシャドーイングをしていました。目的はリスニングです。自分で言えない音は聞き取れないだろう、と当時は思っていました。

そのころの私は、受験英語で英文を暗唱するところまではやっていて、読むほうはある程度自由になっていました。動画を聞いて、話の中身も追えていました。

それでも、同じ音声に合わせて口を動かした瞬間に置いていかれるのです。分かっているのに、言えない。

📖 この記事でわかること

・意味は分かるのにシャドーイングが追いつかないとき、何が起きているのか

・私が実際に変えた2つのこと(教材を変える話ではありません)

・シャドーイングで伸びたところと、伸びなかったところ

シャドーイングができないのは、聞き取る力と口が動く力が別だからでした

シャドーイングは、聞く練習の顔をしていますが、実際にやらされているのは口の作業です。

聞いて意味を取る作業と、聞こえた音を自分の口で再現する作業。この2つは同時に走りますが、育ち方は別々です。私は前者だけを先に育てていました。

同じ音声を聞いているときに、頭と口でやっていること

聞く側:全部聞き取れなくても、前後から意味を埋めて話についていける

言う側:埋めることができない。その音を出せなければ、そこで止まる

リスニングは、多少聞き逃しても大意でカバーできてしまいます。シャドーイングには、そのごまかしが効きません。

だから、聞けている人ほど「できないはずがないのに」と感じます。私も、自分の英語力の問題だと思って落ち込んでいました。実際には、まだ一度も練習していない筋肉の話でした。

できない理由としてよく挙げられるものを、自分に当てはめて確かめたことがあります。半分は、私には当てはまりませんでした。

よく挙げられる原因 私の場合
基礎的な英語力が足りていない 当てはまらない。話の中身は追えていた
意味が分からないままやっている 当てはまらない。意味は取れていた
教材のレベルが合っていない 当てはまらない。下げても落ちる場所は同じだった
音声が速すぎてついていけない 当てはまった
口が回らず、発音がうまく出せない これがいちばん当てはまった

シャドーイングができない理由は?(私の場合の答え)

当てはまった2つは、どちらも口の側の話でした。理解の側には、直すところが残っていません。つまりできない理由は英語力ではなく、その音をまだ自分で出せないことです。

「大意は聞き取れるのに追いつけない」という止まり方でした

私のつまずき方は、いちばん分かりにくい形をしていました。

動画を普通に見れば、何の話をしているかは分かります。分からない単語もそれほど多くない。ところが口を開いた途端、相手は次の文へ行ってしまっています。

一度追いつけなくなると、そこから先は全部落ちます。もう一度戻して、また同じところで落ちる。この繰り返しが、たぶんいちばんイライラする瞬間です。

ここで教材のレベルを下げる、という解決策をよく見かけます。私はそれでは解決しませんでした。やさしい教材にしても、追いつけない場所は同じところに残ったからです。

残っていたのは、単語の難しさではなく音のつながりが速い場所でした。文字で見れば全部知っている単語で、耳でも意味は取れている。それでも口が入っていけない。

この「知っているのに出てこない」は、私にとって初めての感覚ではありませんでした。オンライン英会話を始めたころ、「週末の予定は?」の一言に固まったときと、同じ種類の詰まり方です。

👉 読めるのに口から出てこない、という状態について詳しく書いた記事はこちらです

口が回らないのと、音そのものが出せないのは別の話でした

「発音がうまくできない」と一言で書きましたが、私の場合、中身は2つに分かれていました。

①口が追いつかない:出したい音は分かっている。速度に間に合わない

②音そのものが出せない:ゆっくりやっても、聞こえている音と自分の音が違う

私は両方でした。そして厄介なことに、この2つは対処法が逆です。

①なら、速度を落とせば追いつけるようになります。②は、速度を落としても直りません。ゆっくり間違えるだけです。

どちらなのかを見分ける方法

音声を思いきり遅くして、同じ文をもう一度やってみてください。それで言えるようになるなら①。遅くしても自分の音が違うと感じるなら、②が混ざっています

できない原因を1つに決めようとすると、たいてい間違えます。私は長いあいだ、②の側を①だと思って速度ばかり触っていました。

自分の声で音声が聞こえないのは、まだ覚えていない音を追いかけているからでした

もう一つ、地味に効いてくるのが「自分の声で音声が聞こえない」問題です。声を出すほど、追いかける対象が消えていきます。

そもそも私がいまシャドーイングをするのは、好きで何度も見返している動画です。中身も音も、だいたい頭に入っている状態から口を動かしています。

イヤホンや環境の問題もあるとは思いますが、私の場合はまだ覚えていない音を追いかけていたからだったと考えています。知っている音は、自分の声に重なっても消えません。

私が変えたのは2つだけです:速度を落とすことと、発音の基礎に戻ること

やったことは多くありません。教材を買い替えてもいませんし、時間を増やしてもいません。

①速度を0.8倍くらいに落とす

まず、音声の再生速度を0.8倍くらいまで落としました。これは前の見出しの①、口が追いつかないほうへの対処です。

私はここで一気に楽になりました。ただし、これは速度の問題だけを切り分ける道具だと思っています。

落として言えるようになった文は、口の速さが足りていなかっただけ。落としても言えない文が、本当の課題として残ります。

②フォニックスで、音を出す側の基礎に戻る

残ったほう、つまり音そのものが出せない側には、フォニックスをやりました。文字と音の対応を、いちばん手前から確認し直す作業です。

使ったのはYouTubeの動画です。教材を買いに行ってはいません。同じ動画を3周くらいやりました。

私がやったフォニックスの分量

・YouTubeの動画(無料で手に入るもの)

・同じものを3周くらい

・新しい教材を足すのではなく、同じものを繰り返す

大掛かりなことはしていません。追いつけない原因が口の側にあると分かってさえいれば、直しに行く場所はこの程度の規模でした。

やってみて感じたのは、シャドーイングは音を出せる人が、速さと量を鍛えるための練習だということでした。出せない音は、何回追いかけても出せるようになりません。

いま振り返ると、発音の基礎を先にやってからシャドーイングに入っていたら、もっとスムーズだったと思います。順番が逆でした。

ちなみにこのフォニックスは、そのあと単語を覚える作業のほうにも効きました。音で覚えられるようになると、暗唱の負荷が下がります。

👉 私が暗唱の土台に使った教材と、そのときの発音の扱いについてはこちらに書いています

いまはもう一段戻って、発音記号の基礎をやり直しているところです。正直に言うと、こちらはまだ効果を実感できていません。手応えが出たら、そのときにまた書きます。

それでも、速い人の音声には今でも追いつけません

この2つをやって、追いつける音声は増えました。ただ、全部が解決したわけではありません。

素材によります。もともと話すのが速い人のものは、今でも追いつくのが大変です。通勤中にニュースの討論を聞いていて、ネイティブ同士が笑い合っているところで「ん?」となることも、いまだにあります。

だから私は、シャドーイングを毎日の習慣にはしていません。好きな動画を見返すときに、時間があればやる、くらいの距離感で続けています。

できるようになった人が書く記事に見えないよう、ここは正直に書いておきます。追いつけない素材があるのは、いまの私でも同じです。

何ヶ月で効果が出るのかは、私には言えません

「シャドーイングは何ヶ月で効果が出るのか」は、よく検索されている質問のようです。ここに月数を書けば親切なのだと思いますが、書きません。

私自身、いま発音記号をやり直していて、まだ手応えが出ていない側にいるからです。期間を約束できる立場にありません。

代わりに言えるのは、進んだかどうかの見方です。同じ音声で、前は落ちていた場所を通過できたか。判定はそこだけで足ります。月数より、落ちる場所が動いたかどうかのほうが正確です。

声を出せる場所がないときは、口パクではなく小声で

社会人には、そもそも声を出せる場所がないという事情があります。「口パクでもいいのか」がよく調べられているのは、たぶんそのせいです。

私の場合、口を動かす作業は家でやると決めています。移動中にやっているのは、覚えた文を思い出して小声で呟くほうです。

音を出せているかどうかを確かめる練習なので、声が出ていないと確かめようがありません。場所がないなら、練習の種類のほうを場所に合わせています。

シャドーイングと音読は目的が違うので、「できない」の中身も違います

ここで一度、隣にある練習と並べておきます。どちらが良いかではなく、目的が別だからです。

練習 私がやっていた目的 「できない」の正体
シャドーイング 聞き取れるようになること 音を出す側が育っていない
音読・暗唱 文を自分のものにすること 読めても、口から出す練習をしていない

同じ「口を動かす練習」に見えますが、シャドーイングは相手の速さに合わせる練習で、暗唱は自分の中に文を残す練習です。残らなければ、あとで使えません。

英語の音読の効果は「読む力」に出ました|意味ないと感じる理由

音読を何年やっても話せるようにならなかった理由を、同じ順番の話として書いています。

シャドーイングを続けても、話せるようにはなりませんでした

いちばん書いておきたいのはここです。私にとってシャドーイングは、最後までリスニングの練習でした。

音を追いかけられるようになっても、自分から話す番になると、やはり言葉は出てきませんでした。追いかける文はいつも相手のもので、私のものではなかったからです。

私の場合、話す側が動き出したのは別のところからでした。例文を日本語訳から丸ごと言えるところまで暗唱して、覚えた文を組み合わせて独り言を言うようになってからです。

瞬間英作文は効果ない?私が続けたのは「読むため」と「在庫を作るため」の変換でした

日本語から英語に変換する練習で何が増えるのかを、目的別に整理しました。

追いかける練習と、自分から出す練習は、別々に必要でした。

👉 覚えた文を組み合わせて独り言にする、という次の一歩についてはこちらです

だからもし、いまシャドーイングが追いつかなくて止まっているなら、それは話す練習が止まっていることとイコールではありません。並んでいる2つのうち、片方でつまずいているだけです。

「読めるけど話せない」社会人が選ぶ実践の場|オンライン英会話・AIアプリ・スクールはどれ?

ひとりで音を直す側と、人と話して試す側。それぞれどこが向いているかを並べています。

まとめ|シャドーイングができないときに、最初に見るところ

この記事で書いたこと

・追いつけないのは、聞く力と口を動かす力が別々に育つから

・口が追いつかないのか、音そのものが出せないのかを先に見分ける

・私が変えたのは、速度を0.8倍にすることと、発音の基礎に戻ることの2つ

・シャドーイングはリスニングの練習。話す練習はその隣にもう一本要る

今日やることを1つだけ選ぶなら、追いつけなかった文をひとつ選んで、思いきり遅くしてもう一度言ってみてください。

それで言えたなら、あなたに足りないのは速さだけです。遅くしても言えないなら、そこが発音の基礎に戻る場所を教えてくれています。

どちらにしても、分かったのは「自分の現在地」であって、英語のセンスではありません。

私は長いこと、追いつけないのは頭の出来のせいだと思っていました。聞けているのに言えなかったのは、まだ言う練習をしていなかっただけでした

「結局、どの順番でやればいいの?」と迷ったら

音を出す練習から人と話しに出るまでの全体像を、5つのステップにまとめています。

👉 英語を話せるようになる順番|社会人のスピーキング学習ロードマップ【全5ステップ】

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