「週末の予定は?」
オンライン英会話を始めてすぐの頃、私はこの一言に固まりました。
「文法は分かるはずなのに、どうして何も出てこないんだろう」
こんな撃沈、ありませんか?
・言いたいことはあるのに、単語が出てこない
・毎回、同じ表現ばかりでレッスンが終わる
・褒められて終わるのに、話せた実感がない
どれも、私がやってきたことです。
💡 先に結論
オンライン英会話で初心者が撃沈するのは、文法や度胸が足りないからではありません。口から出せる状態で持っている文が少ないからです。準備でしのげるのは「用意した範囲まで」で、その外に出た瞬間に手持ちの量がそのまま出ます。だから、よく挙がる撃沈対策には効くタイプと効かないタイプがあります。
そう言えるのは、私が「文法が分からない側」ではなかったからです。
大学受験では、英語は得意なほうでした。長文は読める。文法もひととおり分かる。それなのに、週末の予定が言えない。
あの日、レッスンで起きたこと
自己紹介は言えた。名前、仕事、英語を勉強している理由。
→ 講師が「週末の予定は?」と聞く。
→ 何も出てこない。
→ 聞き取れているのかも、自信がなくなる。
→ とりあえず、分かった顔でうなずく。
オンライン英会話で撃沈した初心者への対策としてよく挙がるのは、「基礎ができていないから中学文法を復習しましょう」という話です。
ですが私の場合、中学文法は分かっていました。それでも何も出てこなかった。
📖 この記事でわかること
・中学文法の復習では、なぜあの撃沈が止まらなかったのか
・撃沈のタイプ別に、よくある対策が効くところと、効かないところ
・次のレッスンまでに何を先に入れるか(沈んだこと自体は、抱え込まなくて大丈夫です)
オンライン英会話で撃沈したとき、私は英語が「読めて」いました
私が読めるようになったのは、高校時代の授業で、英文を暗唱するところまで叩き込まれたからです。
長文を前から読み下せるようになり、受験は突破できました。
ただ、あの暗唱は最後まで「読むため」の暗唱でした。テストで問われたのも、覚えた英文を紙に書くことです。声に出して人と話すことは、一度も想定されていませんでした。
英語の音読の効果は「読む力」に出ました|意味ないと感じる理由
音読と暗唱の効果が、なぜ読む側にだけ出たのかを詳しく書いています。
だから読めます。でも、口からは出ません。この2つが別物だということを、私は画面の前で初めて知りました。
文法が抜けている人に、中学文法の復習は効くと思います。ただ、読めるのに話せない人が困っているのは、そこではありません。
英語が読めるけど話せない原因と解決法|受験英語止まりだった社会人が克服した方法
「読める」と「話せる」がなぜ別物になるのか、原因のほうを詳しく書いています。
初心者だった私のレッスンで起きていたのは、聞き取れないことと、同じ表現の繰り返しでした
① 質問が聞き取れず、分かったふりでうなずいていました
まず、相手が何を聞いているのかが分かりませんでした。
そして、聞き取れていないのに分かった顔でうなずいてしまう。これは一度や二度ではありません。何度もやりました。
日本語の会話なら、聞き取れなければ「え、なんて?」と普通に返します。同じことを、英語のときだけ自分に禁止していました。
② 毎回、知っている数個の表現に戻っていました
もうひとつは、言えることの幅が狭すぎたことです。
知っている単語を大きな声で並べて、なんとか場をつなぐ。次のレッスンでも、また同じ言い回しを使う。
心が折れかけたのは、聞き取れなかったことより、こちらのほうが大きかった気がします。
「単語をもっと覚えれば、言えることも増えるはず」
当時の私も、そう思っていました。単語帳をもう一冊やれば解決するのだろう、と。
その理解が違っていたと分かるのは、もっとあとです。
詰まっていたのは単語を知らなかったからではなく、そのあとにどういう内容が来て、その内容に対してその単語をどう使うのかを知らなかったからでした。
単語は知っている。使い方を持っていない。だから毎回、知っている数個の表現に戻ってくる。
③ 「全く話せなくて衝撃」という言葉は、大げさではありませんでした
「あまりにも話せなくて衝撃を受けた」という言い方を見かけます。
大げさに見えるかもしれませんが、私の場合も近い感じでした。
ただ、そのとき感じていたのは「悔しさ」ではありません。
全く会話ができなかった悲しさ。受験の経験もあって、読めるのに話せなかった悲しさ。
そして、暗唱という負荷の高い作業を、またスピーキングのためにやらないといけないのか、というガッカリ感。
衝撃の正体は、自分が思っていた自分と、実際の自分との差だったのだと思います。
オンライン英会話の撃沈の種類と、よくある対策が効かないケース
よく挙がる撃沈対策は、どれも妥当だと思います。ただ、どのタイプの撃沈に効くかは、はっきり分かれます。
| 撃沈のタイプ | よくある対策と、その効き方 |
|---|---|
| 何を話せばいいか分からず沈黙する =話す中身が決まっていない |
自己紹介や話題を用意しておく/予習をしておく → 効きます(用意した文で口は動く) |
| 講師が怖くて頭が回らない =場に慣れていない |
初心者向けの講師を選ぶ/フリートークではなく教材のレッスンにする → ある程度効きます(回数で薄まる) |
| 質問が聞き取れず固まる =相手の言葉が拾えない |
聞き返すフレーズを覚えておく → 途中まで効きます(聞き返せても、返す文がなければ次で止まる) |
| 用意した範囲を出た瞬間に固まる =口から出せる文の在庫が少ない |
どれを足しても、その場ではしのげない → 効きません(在庫を増やすしかない) |
私が詰まっていたのは、いちばん下の行でした。
自己紹介を用意しても、そのあとに何が来るかは選べません。教材のレッスンを選んでも、講師は教材から少し外れた話を振ってきます。
用意した文で乗り切れる範囲は、用意した分だけです。その外に出た瞬間、手持ちの表現の量がそのまま出る。準備の問題ではなく、在庫の問題でした。
撃沈したあとも、「やらないよりはマシ」でダラダラ続けていました
撃沈したあと、私はやめていません。かといって、立て直したわけでもありませんでした。
「やらないよりはマシだろう」と思いながら、正直、ダラダラ続けていました。
あの頃の1レッスンは、だいたいこの形でした。
ダラダラ続けていた頃の1レッスン
予約を入れる。
→ また同じ表現を並べて、場をつなぐ。
→ レッスンが終わる。
→ 「発音いいよ! 継続してね!」と褒められる。
→ また予約を入れる。
あれを言われるたびに、この人は誰にでも同じことを言っているのだろうな、と思っていました。ほとんど確信していました。
それでも予約は取り続けた。何が悪いのかを突き止めようとはしなかった。続けていること自体が、向き合っていない事実を見えなくしてくれたのだと思います。
「挫折してやめた」でもなく「対策して克服した」でもない、この期間がいちばん長かったです。
オンライン英会話を続けても話せない本当の理由|社会人が撃沈して気づいた「順番」の話
続けているのに手応えがない、という段階の話はこちらに書いています。
変わったのは、DUOの暗唱をレッスンの前に入れてからでした
状況が動いたのは、レッスンのやり方を工夫したからではありません。レッスンの前に何を入れるかを変えてからでした。
私がやり直した順番
STEP1 単語帳の例文を、日本語訳を見て英語がすらすら出るまで暗唱する
STEP2 覚えた文を組み合わせて、ひとりで話してみる
STEP3 その状態でレッスンに戻る
使ったのはDUO 3.0でした。正直に書いておくと、この作業はかなり負荷が高いです。気軽にすすめられるものではありません。
ただ、単語だけを覚えていたときと決定的に違うことが2つありました。
ひとつは、文だと場面が浮かぶこと。単語単体だと頭の中に絵が出ないので、なかなか定着しません。
もうひとつは、その単語がどんな言葉と一緒に使われるかが、まとめて入ってくることです。
1つの例文に単語が4つも5つも入っているので、単語と文脈が勝手に線になります。
詰まりの正体が「使い方を持っていないこと」だったのなら、必要だったのは単語の数ではなく、使われている状態ごと覚えることでした。
レッスンの前に何を入れておくか、という側の話はこちらに書いています。
同じ失敗を、IELTS対策のレッスンでもう一度しています
ちなみに私は、このあと同じ失敗を繰り返しました。別のオンライン英会話で、土台がないままIELTS対策のレッスンに飛びついて、また撃沈しています。
とにかく量をこなせばできるようになると思っていたのです。そんなことはありませんでした。
順番の問題だと分かるまでに、二回かかっています。
今は、暗唱で入れた文を独り言で組み立て直す練習をしています。
英語の独り言は「覚えた文の組み合わせ」でした|出てこない・続かない理由
その独り言で、何を材料にして、どう組み立てているのかを書いた記事です。
結論→理由→具体例→結論の型を意識して、ひとりで話す。人前で失敗する前に、口を動かす回数を稼ぐ段階です。
時間に余裕があるときは、英語アプリに相手をしてもらうこともあります。
「読めるけど話せない」社会人が選ぶ実践の場|オンライン英会話・AIアプリ・スクールはどれ?
対人のレッスンに戻る前に、どこで口を動かすか。段階別に整理しています。
スピーク(Speak)の評判は本当?2ヶ月使った私が正直に書くレビュー
相手がAIなら、聞き返しても謝らなくて済みます。良かった点と弱点を正直に書きました。
「オンライン英会話はおすすめしない」と言われることについて
私は、オンライン英会話をおすすめしない側ではありません。撃沈した当人ですが、それは「やめておけ」の理由にはなりません。
もし私が「おすすめしない」と言うとしたら、それは使い方のほうです。
土台がない段階で、実力を測る場として使うと、毎回同じところで沈みます。何も言えなかった、で終わるレッスンが積み上がるだけです。
逆に、覚えた文を試す場として使うなら、同じレッスンでも持ち帰るものが変わります。
サービスの良し悪しではなく、どの段階で使うかの話です。
それでも、オンライン英会話で撃沈してよかったと思っています
あのレッスンで得たものは、英語力ではありませんでした。「このままだとダメだ」が分かったこと、それだけです。
他人にすすめる話ではないので、私の場合として書きます。
読める自分と、話せない自分のあいだにどれくらい距離があるのか。
参考書を開いているかぎり、たぶん一生分からなかったと思います。突きつけられて初めて、自分の現在地が見えました。
だから、出てみたこと自体は後悔していません。
撃沈しないための準備が要らない、という意味ではありません。準備できるならしたほうがいい。
ただ、準備が足りずに沈んだことを、失敗として抱え込む必要はないはずです。
英語が話せない悔しさの正体|バネにしようとして、できなかった人へ
あのとき私が感じていたことと、実はもっと前にも同じ場面があった話はこちらです。
まとめ|撃沈した初心者に必要だったのは、対策ではなく順番でした
| 撃沈したときに起きていたこと | 実際に必要だったこと |
|---|---|
| 質問が聞き取れず、分かったふりでうなずく | 聞き返す度胸より、返せる文の在庫 |
| 知っている数個の表現に毎回戻ってくる | 単語の数ではなく、使い方ごと覚えること |
| やめずに、ダラダラ続けていた | レッスンの工夫ではなく、順番の変更 |
撃沈した直後にやるとしたら、レッスンの取り方を工夫するより先に、口から出せる文を増やす側に時間を移すことだと思います。同じレッスンでも、吸収の仕方が変わります。
私はそこに気づくまで、ダラダラ続けた期間がかなりありました。
同じところで止まっている方が、私より早く抜けられたら嬉しいです。
「結局、何から始めればいいの?」と迷ったら
土台づくりから実践に出るまでの全体像を、5つのステップにまとめています。


コメント
「結局、何から始めればいいの?」と迷ったら
ネイティブを真似、思考言語で理解して、骨伝導音声をフィードバックにして修正するディープラーニングが効果的です。
言語には土台となる文法や単語はありません。